浦安市「格子状工法」の結末 -2016.08.23-

浦安市が推奨する格子状工法
「道路と宅地の一体化液状化対策工法」の結末
「道路と宅地の一体化液状化対策工法」の結末
現在、多数の市民の方々や市議の方、また、新聞記者の方々より浦安市の進めている液状化対策(格子状工法)がほとんどの地区でできない状況となっていることについてのコメントを求められておりますので、こちらにてまとめてお答え致します。
私は浦安市が格子状工法を検討し始めた時期より、この工法の問題点を列記し(過去のブログを確認して下さい)、この工法ではほとんどの地区で採用は無理であろうと指摘しておりましたが、市の意向や賛成している住民の方々に配慮し、以後突っ込んだコメントは避けておりました。
しかし、先行していた習志野市や千葉市での不採用や、浦安市内のほとんどの地区で不採用となった現在、「何故格子状工法はダメなのか?ダメだったのか?」を列記し、私なりに総括しましたので、今後の参考にしていただきたいと思います。
格子状工法の問題点
① 100%の住民同意の壁(地下水位低下工法の場合は2/3以上で良い)
② 重い住民負担(浦安市の場合、1戸あたり150万円~400万円)
③ 費用対効果が不明瞭(地下水位が下がらず、建物のめり込み沈下発生)
④ 既存建物への影響(施工時、地盤沈下や地盤隆起に対する保証が無い)
⑤ 他都市で採用が進む地下水位低下工法が良いのではないか?
格子状工法が不採用となった理由は概ね以上です。
なお、格子状工法では、建物の直下の地盤が良くなる訳ではなく、地下水位も下がる訳でもないので、建物の重さにより、地震発生時にはめり込み沈下が生じ、建物は傾きます。(これは国も指摘している事実です)
これらの事実や施工時の地盤沈下や地盤隆起の可能性(市は±15mmを許容するように求めている)を住民の方々に丁寧に説明せずに同意書を求めた為、一部の住民から猛反発を食らっております。
また、浦安市内では、他都市にて採用が進む液状化対策「地下水位低下工法」を採用して欲しいと言う住民の方々も数多く現れております。
その理由としては、
地下水位低下工法のメリット
① 2/3以上の住民の同意で実現が可能
② 他都市での採用事例やその効果を確認できたこと
③ 格子状工法と比較し1/10以下の費用で実現が可能(費用対効果あり)
④ 一部の地区(美浜3丁目)では、地下水位低下工法の効果があると専門家が提言していた事実
⑤ 浦安市全域(新町であるマンション群を含め)で実現が可能である
⑥ 住民負担がほぼ無い(潮来市の実例による)
液状化対策は
・地下水位を下げる
・建物下の地盤改良を行い、めり込み沈下を防止する
一般的常識に従えば、以上のやり方が良いに決まっています。
格子状工法のような費用対効果が薄いうえに、家の周りに強制的に巨大な杭を造る事(地盤を一時的に緩め、セメントを高圧噴射して造ること)は、近接する建物に悪影響を与えるのは、誰が考えても判る事であり、そのリスクを住民に押し付ける工事は好ましくないと私は考えています。にもかかわらず、浦安市は地盤隆起や地盤沈下を±15mmまで許容するように求めており、その後の保証もしないと言っています。であるならば、私は不採用のほうが望ましいと考えます。
今からでも間に合うのであれば、地下水位低下工法の採用を行うべきであると私は思います。
最後に、浦安市の住民の方々より、ブログに載せて欲しい、浦安市の液状化対策の実情を知って欲しいと、資料をいただきましたので掲載させていただきます。浦安市内の液状化した地域全体が地下水位低下工法の再検討によって、液状化対策が可能となるよう、私も切に望んでおります。



株式会社横浜グラウト
代表取締役 中澤和明